復興への道のり 上・下

著:半藤一利

発行:平凡社
発行日:2023/5/25

判型:A5縦判(210×148mm)
頁数:各340p
製版・印刷:スミ、プロセス4C、特色1C(特緑)、カバー、帯はマットPP加工
用紙:オペラホワイトマックス、オーロラコート、F1カード、b7ナチュラル
製本:あじろ綴じ並製本

どうも、営業部の大関です!

今回は半藤一利氏著『復興への道のり 1945~1989上・下』を紹介させていただきます。

「きちんと読めば、歴史は将来にたいへん大きな教訓を投げかけてくれます」。

シリーズ「半藤先生の『昭和史』で学ぶ非戦と平和」は、2021年に亡なくなられた半藤一利さんの昭和史に関する4冊の著書『昭和史1926-1945』『昭和史 戦後篇 1945-1989』『B面昭和史 1926-1945』『世界史のなかの昭和史』をそれぞれ2分冊にして全8巻にまとめ直し、若い読者にも読みやすく再編集したものです。

本書は『昭和史 戦後篇 1945-1989』を近現代史学習の基本図書として再編集。
小学5年生以上で学習する漢字にはふりがなをふり、巻末には新たに解説と索引を追加しました。

—平凡社ホームページ紹介文より

著者について多くの説明は不要であるとは思いますが、ジャーナリストであり、戦史研究家であり、作家であり、歴史探偵でございます。

そして、特に昭和史に関し人物論・史論を、対談・座談も含め数多く刊行しておりまして、その著書の一部についてを再編集してまとめた2冊になります。

この国が、戦後からいかにして復興したのかを著者の膨大な資料と取材力とエネルギーとで語られています。

現在を生きている日本人としてはとにかく読むべし、としか言いようがないのですが、中身についてをこれまたすばらしいあとがきと解説から少し抜き出して紹介することにいたします。

本書の内容は、敗戦直後からはじまり、戦争に敗けるとはどういうことか、そして今の日本がどのようにかたちづくられたかということが書かれております。

上巻では戦後処理にあたる占領期の約五年間が語られ、下巻では独立国としても本格的な復興や政界の動きを追いながらの昭和四十七年の沖縄返還までをたどり、以後、昭和の終焉まではざっとまとめるかたちをとっています。
1945-1989と銘打ちながらアンバランスとも言えなくもない構成なのですが、これは著者の考える戦後史を表しているとのこと。
占領期の数年間は現在の日本の骨組みをつくった点で極めて大きな意味をもっており、その時期をきちんと理解しておくことが以後を考えるうえで不可欠ということのようです。

戦後も遠くになりにけり。

「廃墟からの再生、復興そして繁栄と、何ともすごい時代を生きてきたが、何とも情けない国をつくってしまったものよ」とも嘆いておられます。

何時、何処で、どう間違ったものか・・・と。

ゼロから出発した戦後史から学ぶべきことはきっとたくさんあると思います。

そして、こちらは本シリーズの下巻カバーに使用した画像です(左側が元画像で右が修正後)。

                             写真=朝日新聞フォトアーカイブ、カラー再現=東京印書館

もともとモノクロであった画像をデジタルリマスター処理をして、ここからさらに濃度を20%下げた上で黄色の網を15%乗算しております。縦に入っていた赤い線もきれいに消去され、男性の眼鏡やネクタイの柄、女性の服装や持ち物などが鮮明となり、よりその時代の空気を感じさえてくれる仕上がりになっています。

画像修正した担当者の言葉を拝借いたしますと「当時のままの色を再現する」といった思いで作業したとのことです。

この本も著者のみならず、制作に携わった人や、その時代をひたすら生きてきた多くの人たちのいろいろな視点からの様々な思いを感じ取ることができます。

著者が記した中に「これからの日本は・・・」という項目があります。
この国の行く末を憂いつつも横町の隠居としてのお節介な忠言として、今の日本に必要なのは何か?という内容になっています。

そして、この一文。

━━どうか自分なりの答えを見つけるつもりになって本書を読んで欲しいと思っている。

歴史とは過去であるのですが、現在の教訓であるとも言えて、そしてそれは未来へとつながるものである、ということを再認識した次第です。

これからの人にこそ読んでもらいたい本です。

(文・営業部 大関)

担当レタッチャーより

製版課:吉澤 美樹


PhotoshopのAIフィルターがうまく機能したため最初に大まかな色を付けることができました。ですが、AIが断定出来ない部分は紫っぽくなってしまったため、それらの部分を自然な色味に調整しています。

この写真の通りの建物は今も存在し、いくつか資料が残っていたため、資料を参考に実際の建物の色に近づけています。また、看板などもわかる範囲で当時のままの色を再現し、後ろの建物の窓にうつる空の色などにも気を配り着彩しました。

そして、元の画像より地面の濃度を上げています。そうすることで人や物の影が濃くなり臨場感が増します。また、人々の服の色も当時の雑誌などを参考にしながら再現しています。最後に、肌の色についても男性と女性で最もらしく見えるよう濃度を変えて着彩しています。

編集協力:山本明子
装幀:木高あすよ(株式会社平凡社地図出版)
DTP:有限会社ダイワコムズ