初山滋 見果てぬ夢
著:初山滋
発行:平凡社
発行日:2023/3/16
判型:B5縦変型判(240×182mm)
頁数:144p
製版・印刷:プロセス4C、スミ、プロセス4C+特色1C(特ピンク)、特色1C(特ピンク)、カバー、帯はグロスニス
用紙:b7ナチュラル、オーロラコート、ミルトGAスピリット ホワイト
製本:あじろ綴じ並製本
今回は、2023年3月18日(土)よりちひろ美術館・東京ほかで開催される展覧会「没後50年 初山滋展 見果てぬ夢』の公式図録『初山滋 見果てぬ夢』をご紹介いたします。大正から昭和にかけて童話雑誌「おとぎの世界」や絵雑誌「コドモノクニ」で活躍した日本を代表する童画家・初山滋。没後50年を記念し、今も斬新なファンタジー世界を回顧するものとなっています。
明治生まれの初山滋は、まだ江戸の香りの色濃い東京の下町で育ちました。小学校を卒業してすぐに丁稚(でっち)奉公に出されますが、次第に絵を描きたい思いが募り、14歳のときに挿し絵画家・井川洗厓(せんがい)に弟子入りします。挿し絵の下絵描きをしながら、日本の古画などの模写に励む一方、印象派やアール・ヌーヴォー、キュビスム等、当時日本に一挙に紹介されたヨーロッパの新しい美術の潮流も感受していきました。
初山は大正から昭和にかけての50年余りに渡り、“ 童画” の世界に欠かせない画家として、児童雑誌や絵本、童話集、教科書など、子どもの本に膨大な絵を描きました。体に染みついた江戸の装飾美に、モダンな感覚を巧みに融合させ、美意識の赴くまま自由な表現を展開したその絵は、今も新しさを失わず、みずみずしい感覚にあふれています。
展覧会は、初山滋の人生を追いながら、童画や絵本の原画、漫画などのほか、自刻自摺の木版画も展示されます。また、本書には可憐できらめく作品と、娘の城田三茶さんへのインタビュー、年譜、ちひろ美術館学芸員・上島史子氏の解説が収録され、初山滋の童画の世界とその人となりや画風について理解が深まる内容となっています。
この展覧会は、3月18日(土)~6月18日(日)まで、ちひろ美術館・東京にて開催、9月9日(土)~11月30日(木)まで安曇野ちひろ美術館にて開催されます。ぜひお運びいただき、鑑賞の記念として本書をお求めください。
担当プリンティングディレクターより
細野 仁
今回の特徴として、経年劣化している原稿(画像)から原稿に僅かに残っている色を拾い再現しています。
また初期の原画の雰囲気を残しつつ、色は極力鮮やかにバランスを整え、原画で使用されている色や紙地の統一感を出しました。
印刷は用紙特性を考慮し、しっかりとインキを盛り込む事で暗部のグロス感を出し、且つ、コントラストを出した仕上がりにしました。
今回の制作段階では、昔懐かしい童話の中で見た色彩を改めて思い出しましたので、そのイメージも大切にしています。
編集:ちひろ美術館(上島史子、竹迫祐子)
装幀:川添英昭
撮影:長谷川修
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