ポケット顧問 や、此れは便利だ 平凡社ライブラリー版

編集人:下中彌三郎・秋永常次郎
装丁:中垣信夫

発行:株式会社平凡社
発行日:2023/6/9

判型:160×110mm
頁数:456p
製版・印刷:プロセススミ(本文)、プロセス4色(カバー)、特グレー(表紙)、プロセススミ+特ピンク(帯)
用紙:HL用紙
製本:並製本あじろ綴じ

平凡社出版、と言われれば最近耳にしたような?と思う方もおられるかもしれません。つい先日に『別冊太陽 小泉今日子』の刊行でニュースにもなりました。(YAHOO!ニュースのリンクはこちら)、(弊社の投稿記事はこちら

この『別冊太陽』シリーズなどに代表されるように学術・教養性の強い出版社ですが、百科事典の出版社としても有名です。特に今回ご紹介する『や、此れは便利だ』は日本初の新語辞典にして後に『広辞苑』刊行にも大きく影響を与えた本であり、(正確には『広辞苑』の前身である岡書院の『辞苑』ですが)平凡社の創業出版本でもあります。

「この書一冊あれば、封数表も計算尺も入らぬ。」「正味ばかりの本だ。」「最も能卒的の著書だ」との世評。実業家、事務家、技術家の一大福音
当時の広告より(旧字体は新字体にしています)



第一編は新聞語解説。現代風に言うなら新語辞典や現代用語の基礎知識、といった内容になっており、外国語にカタカタのルビがふってあるのが時代を感じさせます。

ビーア(ビール)がないのにビーア・ホールがあるのはビール自体はあったけど外でビールを飲ませることを主体とした店はまだ珍しかったというところでしょうか。



第二編は実用熟語成句便覧。こちらも現代風に言うと熟語・慣用句辞典でしょうか。この章は今でも通じる内容ですが、解釈や語感は当時のままですね。

聞き覚えのある言い方にすると”武陵桃源”は”桃源郷”、”孟母三遷”は”孟母三遷の教え”でしょうか。



第三編は実用文字便覧。漢字辞典に近い内容になっており、読み書きは使い方の間違いやすい字が挙げられています。

上記の内容に増補と第四編の続新聞語解説を加えた(注:今回のライブラー版は底本に再訂大増補第24版を使用しています)ボリュームたっぷりのこの本。知識を補うためもよし、当時の世情や風俗を知るもよし、おひとつどうですか?

余談ですが、印刷に関わる者として”オフセット印刷”の項目が目に留まりました。

”石版の石の代わりにゴム版を用いる色印刷の新印刷法。近頃、漸く行われるに至った。石版より美しい。”とのこと。

時代を感じさせます。

(文:製版課 佐野)