最近、プロセスbk(スミ)単色(K100%)のオーバープリント(ブラックオーバープリント/スミノセ)は不要では?というご質問を頂くことがあります

印刷時の版ズレにより、オブジェクトの境界に白い隙間が発生してしまうような事故を避けるために、印刷会社によってはデータの設定にかかわらず、K100%のオブジェクトには出力時に自動でブラックオーバープリント処理がされる場合もあります。

印刷機械の精度が今後さらに向上し、版ズレの可能性は100%ゼロになる…仮に、この前提であればプロセスbk単色(K100%)のオブジェクトにはオーバープリントを設定しない方がきれいな黒を表現できるのではないか、という主旨です。

スミのオブジェクト(K100%)の下に別の色のオブジェクトが広範囲に重なっているようなデザインの場合、オーバープリント設定により意図せず下色が透けて見える場合があります。

それを回避するために、例えばK100%に下色のCMYも40%ずつ掛け合わせた”リッチブラック”で黒を表現したりするわけです。

では、そもそもなぜ下の色が透けているように見えるのでしょうか?

これはプロセスインキの性質が本来「透明」であることを理解する必要があります。透明というのは「光を透過させる」ということです。

入ってくる光が紙に乗ったインキの顔料(色の素になる成分)の粒子間をくぐり抜け、紙面に到達し、その光がさらに反射して人間の目に届きます。

重ね刷りをすることで2次色(原色を混ぜて作った色)が形成されるためには、まず、インキが各色とも「透明である」ことが必須条件になります。

これは例えば、原色であるイエローとマゼンタのインキを透過して反射して戻ってきた光が「赤」色として我々の目に届いてくる。というイメージです。

印刷インキが「透明」と言われるとイメージしずらいかもしれませんが、「光を通す」と覚えておくと理解しやすいのではないでしょうか?

プロセスbkインキも同様に光を通しますので、別の色のインキと重なって印刷された場合、重なった部分からは混色した色の光が反射して人間の目に届きます。そうすると重なった部分は「下の色」が透けているように見えるというわけです。

では、”きれいな黒”を表現するにはどうすればいいか、ということについて次回は書いてみたいと思います。

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