現代美術家のアイデアメモ・スケッチブックを複製

日本を代表する現代美術家、宮島達男氏が白紙のスケッチブックに作品のアイデアや日々考える内容を記録した一冊「keep Changing, Connect with Everything, Continue Forever」

鉛筆でのスケッチ、サインペン、ボールペン等のスケッチやメモを中心に、随所に蛍光ペンが使用されています。これを4色オフセット印刷で再現するにあたり、スミ(黒)と蛍光シアン、蛍光マゼンタ、蛍光イエローの掛け合わせを手法として採用しました。

蛍光インキの掛け合わせで様々な画材による黒のバリエーションを表現

下の写真は4色のカラーバーがついている刷り出し見本になります。スミ(黒)→蛍光シアン→蛍光マゼンタ→蛍光イエローの順番で印刷されます。注意点として、不透明度が高い蛍光インキは先刷りの色が後刷りのインキの影響を受けやすいということが挙げられます。特に難しいのは、今回の場合、同じ黒といっても鉛筆線、サインペン、万年筆、ボールペン等、画材の違いによりる様々なスミ線・スミ文字のバリエーションがあり、それらを全てスミ+蛍光3色の掛け合わせで忠実に再現しなければなりません。


下の写真は50倍のルーペで鉛筆線の部分を拡大した画像です。スミ線・スミ文字にもご覧の通り蛍光インキが入っています。グレーバランスに注意しながらそれぞれの画材によるスミ線・スミ文字の風合いの違いを4色という制約の中で出すことに苦心しました。

仕上がりについて、宮島達男先生のTwitterでは「本物と見分けがつかない」との有難いお言葉を頂きました。

Keep Changing, Connect with Everything, Continue Forever – 宮島達男 | AKIO NAGASAWA