大山行男写真集・インド四都物語〜知らない街を歩く〜

発行:山と溪谷社
編集・構成・デザイン:佐伯剛
判型:A4横変形
製本:かがり並製
頁数:128p
用紙:ニューVマット

みなさん、こんにちは。東京印書館Youtuberの桝川です。今回は、富士山写真の第一人者・大山行男氏のもう一つのライフワーク「インド四都物語」について紹介させて頂きたいと思います。

まずは夜の路上の写真なんですが、もうね、写真集を開くと飛び込んでいる漆黒の闇に蠢くカオスに圧倒されます。牛もね、野良牛なんですよね。まるで映画を見ているような世紀末のような世界で、ものすごい熱気が伝わってきます。

表紙に使われている写真なんですが、これがどういう状況かといいますと、信号がないんですよ。だから、荷車も自動車もリクシャーも、歩行者も、みんな動けない、先に進めないという。クラクションの音が今にもそこら中から聞こえてきそうな写真ですね。

電線がもう、そこら中でツタみたいに絡まりあって空中でダマになっていたりとか、そしてゴミの海..皆さん、驚くなかれ!超IT先進国でありながら裏通りでは途方もない数のスラムの民がたくましく生きる。路上に投げ出された生と死。これが現代のインドである!

ということでぜひ、お手にとって頂いてこの写真集から迸る熱気を五感でね、存分に味わって頂きたいと思います。

あと、これは印刷会社の記事なので、せっかくなので造本についてもポイントを一つご紹介したいと思います。写真ではわかりづらいと思いますが、今回の表紙には「ベルベットPP貼り」という表面加工が施されているんですね。

まず、PPというのはポリプロピレンというプラスチック素材です。印刷物をキズや汚れから保護するだけでなく、光沢感や落ち着きのあるマット感を持たせる目的でこのPPを貼る訳なんですが、大きく分けてツヤ感のあるグロスPPと、落ち着いたマット感のあるマットPPの種類があります。

今回採用されている「ベルベットPP」は、マット感のあるPPなんですが、PP表面のキズが目立ちにくいにくいという特徴があります。今回のようにスミベタの面積が広いデザインの場合、通常のマットPP加工ですとコスレ等によるPP表面のキズが非常に目立ってしまうんですね。

そこで、マットで高級感のある仕上がりでありながら、キズが目立たないというのがベルベットPPの強みです。そして、この手触り。触れてみるとわかりますが、しっとりと手に吸い付くような独特の感触が堪りません…

今回の写真集「インド四都物語」では、このベルベット加工が生む手触りが大山氏の写真と相俟って、インドの路上の熱気と漆黒の喧騒に吸い込まれていくような効果を生んでいると思います。

…ということで皆さん、ぜひお手にとってみてくださいね!!!!
↓↓↓↓