森山大道写真集「OSAKA」

シャドー部(暗部)に強烈な漆黒感・コクのある濃度感を持たせながら、中間〜明部側の豊かな階調を表現するべく、スミ(BK)とグレーのダブルトーン 製版で印刷。

<製版設計>
特スミ(BK)+特グレー(ダブルトーン )+ニス

<用紙>
本文/表紙:ニューVマット

<製本・加工>
上製本糸かがり綴じ
グロスPP加工(カバー)

Printing Diretor’s Note

写真集「OSAKA」の特徴としては、「記録」シリーズにみられるようなコントラストが強めの写真と、どちらかといえば濃度域が広い中間調が豊かな写真が入り混じっています。

製版、印刷上の課題としては、白黒の濃度差がはっきりしたハイコントラストな写真と中間調が豊かな写真が混在した時に、一冊の写真集として統一感を持たせるということを意識しています。

具体的には、コントラストが強めの写真も中間調が豊かな写真も、最暗部(最も濃い部分)の濃度感を合わせました。

この最暗部の濃度感、コク、漆黒感を出すためには、とにかく顔料成分の比率が高い、高濃度の墨インキを使用すること、そしてグレーのインキについても通常よりも濃度を上げて印刷することが肝要です。

高栁 昇


森山大道「OSAKA」

刊行年月: 2016.09
判型:B5判ハードカバー
頁数:204頁(モノクローム写真157点/ダブルトーン印刷)
本体価格:3,500円
ISBN:978-4-86503-035-8

「大阪から上京して、すでに55年もの歳月が経ついまのぼくにとって、大阪は限りなく懐かしい場所である。たまたま聴いた歌によって視界いっぱいに当時の街のイメージが映り見えてしまうのだから」。「大阪+」(月曜社、2007年)とそれに未収録の作品を加えた作品群より写真家自身が選り抜いて編集した決定版。撮影年=1995-2006年。巻末エッセイ「大阪のこと」(日本語)、「Dark Pictures」(英語)、年譜付

*月曜社HPより転載