ハドとともにいまだかつて見たことのない世界へ
発行日:2025/10/28
著者:黒川琢磨
発行所:スタジオハド
判型:B6縦判
頁数:600p
製版・印刷:モノクロ/オフセット
用紙: ラフクリーム琥珀N<本文>
製本:糸かがり上製本
どうも、東京印書館の大関です。
今回紹介するのは「ハドの冒険 -The Adventure of Hado-」です。
著者はアーティスト・黒川琢磨さん。
原画は和紙に筆と墨で繊細かつ丁寧に描かれたドローイング作品、というか作品群という方がしっくりきます。
数年間にわたる制作期間を経て完成に至った約600枚ものハドという猫の冒険譚。
当社は中身だけではありましたが、お手伝いをいたしました。
こちらが本文を糸でかがった状態。何とも美しい。

セリフや擬音の類は一切ない。
その圧倒的な筆力と表現力とハドが魅せる表情が、目で読む者をその世界観へぐいぐいと引き込んでいく。

ふむ。
この世界観をスミ1色のみの印刷でどこまで再現できるのだろうか。
まずは平台校正刷でのテストを行いました。
その結果をもとに、原画よりデータ化した画像に対してコントラストや明るさ、濃度を調整します。
ただ、やはり原画の内容はそれぞれ異なるので、一律で調整というわけにもいかず。
絵柄の傾向をチェックして大まかに分類し、調整用のトーンカーブを3パターン作成しました。
さらに1点ずつ別々に微調整が必要になるので、そこは黒川さんとこまかな打ち合わせを行いました。
そして2回目のテスト刷を行い、最終的な方向を定め、再度微調整をしていただき本番印刷に臨みました。
オリジナル原画の完全再現とまではいきませんでしたが、墨の濃淡や暗部の階調をうまく印刷できたと思います。

表紙は布クロス貼りに金・黒の箔押し加工の豪華なデザイン。
表紙と本文の合体作業は黒川さん自身の手作りによるものです。
素晴らしく見事な出来栄えです!
後日、展示会に足を運び完成された本と展示されている原画を眺めながらつくづく思ったことは、私の仕事は改めて作り手の方の情熱やエネルギーによって支えられているのだと感じました。
そんな大作「ハドの冒険」を丸ごと感じてみたいという方はこちらからどうぞ。
本の購入先
https://kurokawatakuma.stores.jp/
インスタグラム
https://instagram.com/jigen_neko/
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そして、あなたの「つくりたい」というその思い。
東京印書館でぜひ実現させてみてはいかがでしょうか。
(文・営業部 大関)