日本の中のマネ 出会い、120年のイメージ

企画・監修:小野寛子(練馬区美術館)

発行:平凡社
発行日:2022/9/8

判型:B5縦変型判(243×182mm)
頁数:224p
製版・印刷:プロセス4C、特色1C(特赤、メタリック)、特スミ、カバーはグロスニス
用紙:b7クリーム、フレアソフト、テイクGAボード-FS、オーロラコート、アラベール-FS ウルトラホワイト
製本:無線綴じPUR製本

今回ご紹介するのは、練馬区立美術館で開催中の展覧会公式図録、『日本の中のマネ 出会い、120年のイメージ』です。

19世紀フランスの画家エドゥアール・マネ(1832-1883)は、日本でも長年にわたり、”印象派のリーダー”として認識されてきましたが、モネやルノワールに比較すると、その所蔵作品は非常に少ないと言えます。その理由を究明すべく、洋画黎明期にあたる明治の頃から、マネはどのように紹介され、理解されたかという「マネ受容」について考察されています。

現在では、長年言われてきた「印象派の首領」というマネに対する認識は誤りであり、印象派の時代に印象派の画家たちと交流は持ちながらも、「イメージを自由に操作し、『現実』を自在に造型する、典型的な『ポスト・レアリスム』の画家」であると言えるようです。

現代美術の分野においては、福田美蘭氏と森村泰昌氏の作品にフォーカス。マネの作品をインスピレーションとして、そこから両氏が生み出した作品は「男女の逆転」や「価値観の攪乱」を惹起させるものとなっています。日本の芸術家によって現代的な意味を付与されたマネの作品から、私たちは新たに現代的なリアリティをもってマネを再認識することができます。

1904年(明治37年)に石井柏亭が《草上の小憩》を描き、マネへのはじめてのオマージュ作品として発表してから、約120年。この日本とマネの出会いからこの120年間の間で築かれた私たちの芸術観や絵画観のありようをふり返ることができる内容となっています。

この展覧会は、2022年11月3日(木・祝)まで練馬区立美術館にて開催中です。ぜひお運びください。

担当プリンティングディレクターより

細野 仁

福田美蘭さんの新作については、練馬区立美術館で撮影から立ち会い、カメラマンと色調を相談しながら印刷に適した写真を撮影いただきました。

用紙のb7クリームは、インキがやや濁りやすい傾向があるため、その点を考慮して製版しています。また、会期終了後見返していただいたときに、皆様の記憶が鮮やかによみがえるように、メリハリがあってコントラストがはっきり出るよう、インキのボリュームもアップして印刷いたしました。

 

執筆(五十音順):新井晃(一橋大学大学院)、小野寛子(練馬区立美術館主任学芸員)、島田紀夫(実践女子大学名誉教授)、福田美蘭(現代美術家)、三浦篤(東京大学教授)、森村泰昌(現代美術家)
編集:廣瀬歩(STORK)
デザイン:原純子(STORK)
校閲:栗原功

日本の中のマネ ―出会い、120年のイメージ― | 展覧会 | 練馬区立美術館

2022.09.04(日)~ 2022.11.03(木) …