ウィリアム・クライン写真集 TOKYO1961

Photographs:William Klein
Book design and cover:William Klein

Editor:Akio Nagasawa
Design Cooperation:Hiroshi Nakajima

発行:Akio Nagasawa Publishing
発行日:2014/11/28

判型:B4縦変型判(348×255mm)
頁数:200p
製版・印刷:、特1C(特グレー)+スミ+超被膜グロスウェットニス、スミ+超被膜グロスウェットニス、特色2C(スーパーブラック+特赤)、表紙はグロスPP加工
用紙:サテン金藤N、コート紙
製本:糸かがり上製本、背布

今回は、ウィリアム・クラインの写真集「TOKYO 1961」をご紹介いたします。

独自の手法で都市を捉える写真家、ヴォーグのファッション・カメラマン、映画監督など、幅広い分野で今もなお第一線で活躍し続けている巨匠ウィリアム・クライン。「TOKYO 1961」は、伝説的デビューを飾った写真集「ニューヨーク」 (1956)以降、「 ローマ」 (1956)、「モスクワ 」(1961) と続く都市4部作のひとつです。1964年に出版され、長らく絶版となっていた幻の写真集が、節目となる50年目の2014年に新たなエディションで刊行されました。

荒れた粒子やブレなどを特徴とする、いわゆる「アレ・ブレ・ボケ」と言われる手法で、パチンコホール、証券取引所、国会、ネオンや看板、あるいは昭和天皇、歌舞伎役者、ストリッパー、芸者、関取、小学生とさまざまな場所や人物を被写体にしたこれらのエネルギーに満ち溢れた写真は、クライン氏自身のアートワークにより、ページをめくるたびに新鮮な驚きを感じさせるように一分の隙もなく配置されています。

東京オリンピックを3年後に控え、戦後の高度経済成長期真っ只中の混沌とした東京の姿を、日本人ではないクライン氏が客観的でありながらもパワフルに切り取ったこれらの写真は、今の我々にも当時の東京に渦巻いていたパワーやエネルギーを感じさせる傑作です。

50年ぶりに新装版を印刷するにあたって、初版はグラビア印刷(※)だったのですが、オフセット印刷で当時の印刷を再現する方法を模索しました。そこでインキはスミ+グレー+超被膜グロスニスを使用。

このグレーは、光沢の出るグロスタイプで、弊社独自の配合によりやや黄味を帯びたウォームグレーにしています。これにより、クライン氏のパワフルな写真は、コントラストが強調されツヤツヤの光沢を帯び、さらにウォームグレーのインキの効果によって、経年により黄化したような雰囲気を出しています。クライン氏に「1964年に出版したとき、このように印刷したかった」とまで言っていただき、一同感無量でした。

森山大道氏はこの写真集に寄せた寄稿文で次のように述べています。「『あ、この本はぼくが作るべきだった』という思いと、『ここに在った東京は、日本の写真家が写すべきだった』という一種口惜しさに似た思いだった。」

超一流の写真家をして、このような羨望の言葉を言わしめてしまう、真のトップランナーたるウィリアム・クラインの傑作写真集。今なお、我々日本人にも新鮮な驚きと感動を与えてくれることは間違いありません。Akio Nagasawa Publishingにて購入可能ですので、ぜひ皆様のコレクションにお加えください。

※凹版印刷(おうはんいんさつ)と呼ばれる印刷方法の1種。凹版は凹んだ部分にインキを付着させて、印刷物に押しあてることができる印刷機を使用します。一般的に、細かい濃淡を表現するのに優れている印刷方法です。

All reserb and black & white prints:Pierre-Louis Denis
Additional black & White prints:Payram—PICTO Bastille
Cooperation:Polka Galerie

TOKYO 1961(New Edition) – ウィリアム・クライン | AKIO NAGASAWA

1928年ニューヨーク市生まれ。55年からファッション写真を撮影、キャリアをスタートさせる。56年「ニューヨーク」を刊行。ブレ、ボケなど従来の写真のタブーを破り大胆に表現、そのスタイルは今なお多くの写真家に影響を与え続けている。ニューヨークを撮影後、「ローマ」(59)、「モスクワ」(64)、「東京」(64) を相次いで制作。 …