由宇芳上写真集 Labyrinth Blue

著者:由宇芳上

デザイン:石山さつき
発行人:片村昇一
編集:藤森邦晃

発行:日本写真企画
発行日:2021/11/28

判型:A4縦変型判(245×245mm)
頁数:156p
製版・印刷:プロセス4C(本文、表紙)、特色2C(コンクスミ+特グレー、本文)、プロセス4C+特銀(帯)
用紙:ニューVマット、特アートポストN、A2コート
製本:無線綴じPUR製本

今回は、写真家・由宇芳上さんの写真集「Labyrinth Blue」をご紹介いたします。

写真家の由宇芳上さんは、1948年生まれ、医師、医学博士でもある異色の経歴です。1998年より限られた時間を利用して、少しずつ本格的に写真を撮りためていったぞうです。都市風景を中心にフォトセラピーとして自然風景撮影にも取り組んでいらっしゃいます。

由宇さんは、写真集あとがきで、「都市風景の撮影を通して、新型コロナウイルスの出現はいろんなことを考えさせられた。巨大都市にいてもさまざまな自然現象の壮大なスケール感は、人間の遥か及ばない領域である。」と述べられています。

由宇さんの写真の中には、多くの人が訪れ、目にしたことのある建造物や都市が多数登場します。しかし我々が何気なく見ている光景とはまったく違う、由宇さんの「写真家」としての眼で切り取られ撮影された作品は、現代社会を見事に体現しています。

写真家の田沼武能氏は次のように推薦文を寄せられています。

「現代の都市はガラスや金属の表面に映りこむ虚像や実像で構成されている。それは現実と非現実の境を漂い曖昧な社会を作り上げる。その現れては消える虚像、実像の変幻都市に魅了され、ある時は一瞬の出会いに興奮し、ある時は何日も同じ被写体を訪ね、鋭い感性で作品に仕上げる。」

建造物の構築的なフォルム、俯瞰から撮影された人々や光景など、由宇さんは、その「被写体」に感謝を寄せ、何気ない日常の中に出会った新鮮な発見と驚きを作品に落とし込んでいます。現代を生きる皆様に、ぜひご覧いただきたい写真集です。