海の向こうでニッポンは

著:井上章一

装幀:菊地信義

発行:平凡社
発行日:2023/5/15

判型:B6縦変型判(172×105mm)
頁数:248p
製版・印刷:スミ、特色2C(特青+特スミ)、特色1C(鉛色)、特色1C(特赤)+スミ、カバーはマットPP加工
用紙:淡クリーム琥珀N、雷鳥コートN、Nプレミアムステージ ホワイト
製本:あじろ綴じ並製本

今回は井上章一氏著『海の向こうでニッポンは』をご紹介いたします。意外とわからない世界から見た日本観。海外に渡った日本文化が誤解も含めどう変容したか、言葉、宗教、アニメ等多様なテーマで描きます。

ドイツの盆栽、アメリカのテリヤキ、西陣織でつくられたイスラム服、南洋の伊勢神宮、「京都銀行」の本店がバンコクに、ブラジルでは日本の新宗教が大流行?! ことば、音楽、プロレス、建築、宗教、歴史、マンガ、アニメ、食、酒……。筆者が長年目撃してきた、日本の文物が海外でかたちを変える光景。そこには現地に適応した驚きの「ニッポン」があった。日本から海外への文化の広がりに光をあて、日本そのものをとらえなおす。

—平凡社ホームページ紹介文より

井上氏は国際日本文化研究センターに勤務してきたことから、海外の学術集会に参加するため、若いころから海外をよく訪れていたそうです。そういう出張でできた自由時間には、街を散策し、現地に飛火しているかもしれない日本文化の様子をさぐったと言います。

古くは東アジア、安土桃山時代以後は、西洋からも日本には海外の文物が数多くつたわってきていますが、一方日本から海外へ伝播した文物も存在しているものの、その存在感は薄いと言わざるを得ないようです。海外へ伝わった文物について論じた読み物はあまり多くなく、日本へ伝来した舶来品について論じた文章の方がはるかに多いことのバランスに偏りを感じ、日本からの文化伝播へ光を当てた本がもっとあって良い、と考え始めたことから本書は生まれました。

「なぜブラジルでは日本の新興宗教が大流行しているのか?」「なぜエルメスのスカーフに『盆栽』と書かれているのか」「ドイツのベルリンになぜ『ヒロシマ』という通りがあるのか」などなど、日本人の我々からすると不思議に思うモノやコトについて、疑問を提示し、時にはその謎の答えを解き明かしてくれます。日本そのものをとらえなおす良いきっかけとなる良書です。ぜひご一読ください。