動物写真家の記憶

写真・文:前川貴行

ブックデザイン:鈴木成一デザイン室、大口典子(nimayuma Inc.)
製本:東京美術紙工

発行:新日本出版社
発行日:2023/3/30

判型:A5縦判(210×148mm)
頁数:200p
製版・印刷:プロセス4C、スミ、特色1C(特緑)+スミ、特色1C(特緑)、カバーはマットPP加工、表紙、帯はマットニス
用紙:b7トラネクスト、MTA+-FS、アラベールホワイト
製本:糸かがり並製本

今回は、写真家・前川貴行氏のフォトエッセイ『動物写真家の記憶』をご紹介いたします。記憶をたどり、自分を見つめなおし撮影対象を見つめた『日本カメラ』誌の好評連載が一冊に。毎月、日々重ねる動物との対峙や撮影への考えを掘り下げます。自然や人とのつながりを大事に、自分も同じ地球で生きている仲間と日々感じている、前川貴行氏の流儀が伝わってきます。

想像もしていなかった者になった自分。なぜ自然なのか。根幹は何か。希望と安らぎに満ちあふれる太陽の光と表裏一体になった暗黒の恐ろしさこそ、自然の本質ではと感じた幼い日。世界を見るために、伝えるために撮る。人の世界でしか生きられないから。第一線で活躍する写真家がたどる記憶と信条に迫ります。

僕の仕事をひとことで言うと野生動物の撮影となる。
でも当然撮影だけで完結するのではなく、企業なり出版社なりに撮った写真を提供してお金をもらい、初めて仕事となる。
(中略)

写真展も重要な仕事のひとつである。
写真家としての世界観を、プリントを通して直に感じてもらうのは、この上なく貴重なことだ。
プリントとじっくり向き合うと、普段は無造作に過ぎ去ってしまう時の流れに、しっかりとした手応えを感じることができる。
(中略)

そして僕がもっとも重きをおいているのが写真集。
少しオーバーかもしれないが、自分が生きた証は、最終的に写真集しかないのではないかと思っている。
取材計画を立てるとき、念頭にあるのは次の本の構想だ。
(中略)

ダウンロードが主になったミュージシャンにとってのレコードのようなものかもしれない。
でも樹木から生み出された紙と融合したプリントや印刷は、写真表現に不可欠のものだと思っている。
ゆっくりと心と身体に沁みわたる写真、といえばよいのだろうか。
紙の媒体がこの先どうなるかは未知だが、つねに前作を超える内容を目指し、死ぬまでに一冊でも多くの良書を生み出したいと願っている。

—本文46-47p「仕事のあれこれ」より抜粋

当社が写真集制作をお手伝いさせていただく際には、前川氏は校正の打ち合わせや印刷立会に必ずいらっしゃいます。印刷機から刷り上がったばかりの刷り出しを眺め、色を真剣にそして丁寧に確認されているお姿を拝見するたびに、髙柳プリンティングディレクターはじめ、当社のスタッフも身が引き締まり、より良い印刷にしなければと思いを新たにいたします。「一冊でも多くの良書を生み出したい」という前川氏の真摯なお気持ちにお応えせねばと思うのです。

自然、動物、仕事、人間…前川氏の記憶と信条を綴った文章と、美しい野生動物や自然の風景、現地の人々を撮影した写真で編まれたフォトエッセイ。ぜひご一読ください。