丸紅ギャラリー開館記念展Ⅳ 染織図案とあかね會―その思いを今につむぐ―

執筆:並木誠士(京都工芸繊維大学美術工芸資料館長)、岡達也(京都美術工芸大学准教授)、杉浦勉、軍司しずか
編集:茂木光治(アルボリート)
製作:茂木光治
翻訳:トライベクトル株式会社、ハイマスヒロミ、杉浦勉
デザイン:
馬面俊之(馬面デザイン室)
写真撮影:
タケミアートフォトス
発行:
丸紅株式会社
発行日:
2023/5/16

判型:A4縦変型判(280×223mm)
頁数:124p
製版・印刷:〈表紙〉プロセス4c+グロスニス、〈本文1,3,4〉スミ、〈本文2〉プロセス4c
用紙:〈表紙〉ヴァンヌーボVG スノーホワイト、〈本文1~4〉b7トラネクスト
製本:無線綴じPUR並製本

今回は、2023年5月16日~7月31日に丸紅ギャラリーにて開催された『丸紅ギャラリー開館記念展Ⅳ 染織図案とあかね會―その思いを今につむぐ―』展図録をご紹介いたします。

丸紅コレクションの三本柱の一つである「染織図案」。始まりは、丸紅株式会社の前身である株式会社丸紅商店が東京進出に向けて行った市場調査。新しい染織デザインを模索するべく、1927年に染織図案研究会「あかね會」が発足されました。芸術家約70名が毎年新作の創作図案を発表し、600点を超える図案作品が残されています。

本展では、“染織図案とあかね會”に焦点を当て、日本画家、洋画家、漆芸家、彫刻家、図案家らによる個性的な計48点の作品が展示されました。

見どころは、6点の図案から、現代の職人の手によって実際に仕立てられた1点ものの着物と帯。図案を忠実に再現することに力を入れているものやオリジナリティあふれるものなど、柄の配置から色味、陰影の表現に至るまで、図案をどのように染織品に落とし込むかという職人のこだわりが詰まっています。

本図録では、本展同様、元の図案と図案を元に制作された染織品を並べて鑑賞することができます。制作に際しても、当社のプリンティングディレクターが撮影から立ち会い、図案の色を再現することに力を入れました。

「こんな柄の着物が欲しい。」がキャッチコピーとなっていた本展。お気に入りの図案を眺めて楽しむのはもちろん、染織図案という芸術作品を深く掘り下げることのできる図録に仕上がりました。

担当プリンティングディレクターより

細野 仁

今回はちょっと趣向をかえて小話をしたいと思います。

【撮影立会と現物校正について】

丸紅ギャラリー刊行の図録の殆どは撮影から立会いを行い、実際に現物を確認しながら校正を行っています。今回は染織の図案という事で『図案』と『図案が元となる美術装飾の染織品』が本書の中心となる為、図案の色を極力、再現する必要があります。

撮影立会いでは撮影後カメラマンと複数カットのRGB画像を比較し、ホワイトバランスやグレイバランスの値が適切か否か、明るさに問題がないか確認しながら画像選択を行います。

製版設計の元となる現物校正は、作成したサムネイル(自筆)にポイントとなるそれぞれの色を特色インキセレクターを用いて目安になる近似色を見つけていき、用紙適正を考慮し、画像変換、修整の参考とします。このような作業を経ていくと校正の時間短縮・赤字修整の度合いが少なくて済みますので、印刷工程ではすっきりした責了紙(原稿)になり、オペレータも印刷し易くなります。

入稿段階で詳細を詰めておく、後工程に分かり易い材料を提供する事を常に心掛けておくと、最終的にクライアント・編集者は勿論のこと、現物に近い納得のいく作品図録になると思いますよ。

【展示替え期間のため休館中】Marubeni Gallery 丸紅ギャラリー

丸紅ギャラリー 2021年11月 開館

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