2023年11月23日刊行予定、銅版画作家として活動する製版課チームのスタッフ吉澤美樹の作品集「tiny story」。今回は3回目の制作工程レポートをお届けします。

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「tiny story」は東京現代美術館で開催されるTOKYO ART BOOK FAIR 2023での展示販売に向けて制作が進んでいます。ようやく表紙の箔押し見本とコデックス装の束見本が出来上がりました。

今回は束見本と表紙箔押しの見本が届きましたので報告いたします。 まず束見本とは、本番と全く同じ紙とページ数の見本のことです。束見本を実際に手に取ってみると、本の重さや見返しの色から受ける全体の印象をより具体的に確認することができました。

こちらはコデックス装という製本形式になります。ご覧の通り、糸で縢った本文の背が剥き出しになっており、表表紙と裏表紙はそれぞれ一枚の板紙に貼り付けられる形になります。


表紙の裏側に張り込まれる見返しは、原本の外側と似た色を選択いたしました。原本のイメージに近づけることができたと思います。

次に表紙ですが、箔押しの色についてはメタリックコーヒーブラウンとサワーゴールドの2色のどちらを選択するか迷っていました。そこで、両方とも見本を作って頂けることになったため、2パターンの箔押見本をテストで確認しました。(左:コーヒーブラウン/右:サワーゴールド)

当初の予想では、元の銅版画のイメージを崩さないためにはコーヒーブラウンがより適していると考えていました。ですが、実際の箔押しを見てみるとサワーゴールドの方が、原画全体の柔らかい雰囲気を保っていると思い、サワーをゴールドを選択することにいたしました。

迷っていた2色を実際に比較して判断することができたので、最善の選択をすることが出来たと思います。実際に束見本と表紙箔押しの見本を物理的に手にすることで、完成物のイメージが湧いてきて楽しみになってきました。 次回の投稿もぜひご一読ください。

製版課 吉澤美樹
(2023/10/20)

吉澤美樹作品集「tiny story」刊行のお知らせ –

「tiny story」は2023年11月23日、東京現代美術館で開催されるTOKYO ART BOOK FAIR 2023東京印書館のブースで販売予定。本の完成に至るまでの制作過程を吉澤自身が複数回にわたってレポートしていきます。