幸田文 生きかた指南

著者:幸田文

編者:青木奈緒

発行日:2022/3/25
発行:平凡社

判型:四六判(184×126mm)
頁数:288頁
用紙:オペラクリアマックス、モフル ピスタチオ、サガンGA うす鼠、NTラシャ スノーホワイト、サガンGA プラチナホワイト
製版・印刷:スミ(本文)、特色1C(表紙、特青)、特色1C+スミ(帯)、プロセス4C+マットニス(カバー)
製本:あじろ綴じ上製本、仮フランス装

今回は平凡社様刊行、幸田文さん著、青木奈緒さん編「幸田文 生きかた指南」をご紹介いたします。

幸田文は、明治の文豪幸田露伴の次女として生まれ、自身も随筆家・小説家として多くの著作を遺しています。一人娘の青木玉も随筆家、今回この本を編まれたエッセイスト・作家・翻訳家としてご活躍の青木奈緒さんは孫にあたり、実に四代にわたる文学一家です。

幸田文さんの随筆に度々登場する幸田露伴の記述を読むと、「お父さんのことが大好きなんだな」と微笑ましい気持ちになりますが、この本でもそのようなエピソードを読むことができます。

私が特に好きなのは、当時いわゆる「行き遅れ」だった文に対し、父露伴が「ここはおまえの生れて育ったうちだ。気の済む対手があるまで、しずかに自由にここにいるのがあたりまえだ。不幸にして思わしい縁を得ず、何年ここにいるようなことがあっても、私はそれで騒がしく思い乱れることはない。そういう不幸な状態だっていくらもあり得るものだ。」と云ってくれ、しみじみ親はかくありたい、父の態度はりっぱだと感謝した、というところです。

私自身もいい年になってもまだ親に迷惑をかけっぱなしで、心底情けなく思う時もしばしばですが、私にとっての父もやはり「安全地帯」であり、出戻っても父娘仲睦まじく暮らした幸田文の随筆を読んでいると、その境遇をわが身に置き換え、心が慰められます。

装幀は「しつけ帖」をはじめとするシリーズを手がけているクラフト・エヴィング商會の吉田浩美さん、吉田篤弘さんで、今回も表紙は和服のシボのような風合いのあるサガンGAを仮フランス装(やや大きい紙を天地左右の余白を折り返して糊付けしたもの)にした、品のよいデザインにもご注目ください。

この本では、私たちが生きていくなかで直面するであろう、男女、親子、嫁姑、お金などのさまざまな問題に対して、幸田文一流のしなやかでさらりとした語り口でアドバイスしてくれています。

青木奈緒さんがあとがきで「おかげさまでこの本の中で、幸田文は元気にしております。」と述べられているように、私たちに幸田文は今なお語りかけてくれています。ぜひ皆様も幸田文との対話をお楽しみください。

編集協力:二宮信乃
装幀:吉田浩美 吉田篤弘(クラフト・エヴィング商會)