「若者の読書離れ」とうウソ

著:飯田一史

装幀:菊地信義

発行:平凡社
発行日:2023/6/15

判型:B6縦変型判(172×105mm)
頁数:264p
製版・印刷:スミ、特色2C(特青+特スミ)、特色1C(鉛色)、特色1C(特赤)+スミ、カバーはマットPP加工
用紙:淡クリーム琥珀N、雷鳥コートN、Nプレミアムステージ ホワイト
製本:あじろ綴じ並製本

「最近の若者は昔に比べて本を読まない」まことしやかに語られる言説が事実ではないと、序盤、それもまえがきの段階で早くも示されます。

データから実証もしますがそれ自体がメインテーマでありません。現在の中高生はどのくらい、どんな本を読んでいるのかを扱い、若者に有効な読書推進施策はあるのかについて提言もされています。

作者が中高生によく読まれている本を実際に読んで分析し、中高生の本に対する「三大ニーズ」と、読まれる本の「四つの型」を提示します。本を作る側としては「四つの型」を利用しつついかにして「三大ニーズ」を満たしていくのか。読まれている本には読まれる理由があり、裏には作る側の多くの工夫が隠されていることを感じました。

作る側の工夫で興味深かった例がありました。短編集として異例の大ヒットシリーズである「5分後シリーズ」では、内容面でいろいろ工夫が凝らされているのはもちろん、「仮フランス装」という装丁を使用したこともポイントのひとつに挙げられています。

児童書は、並製(ソフトカバー)と上製(ハードカバー)ではっきり客層が分かれる。並製はエンタメ寄りの軽いイメージであり、上製は読書感想文用など少し堅い雰囲気の「児童文学」という印象になる。『5分後』は、表紙の周囲を内側に折りたたむ製本方法である「仮フランス装」を使って並製と上製の間の「上製だが並製のようにも見える」ところを狙った。(本文より抜粋)

本文より大きいサイズの紙を表紙とし、天地左右の余白を内側に折り返して糊付けする装丁です。上製本いわゆるハードカバーでは表紙は固い厚紙を使用しますが、仮フランス装の表紙は柔らかく、上製と並製の中間に位置する装丁にあたります。

思春期の読者に届けるために子供っぽすぎず、かといって堅苦しくならない本、それを装丁でも表現するところにこだわりを感じます。
(文・製版部 穂積)