The 15th shiseido art egg カタログ

受賞者:石原海、菅実花、中島伽耶子

発行:資生堂

発行日:2022/3/30

判型:A4縦変型判(285×228mm)
頁数:24頁
用紙:ユーライト
製版・印刷:プロセス4C、表紙はプロセス3C(シアン、マゼンタ、ブラック)
製本:中綴じ製本

今回は、資生堂様が発行されている「The 15th shiseido art egg カタログ」をご紹介いたします。

1919年のオープン以来、「新しい美の発見と創造」という理念のもと活動を続けてきた資生堂ギャラリー様は、アートによるイノベーションを目指し、「新しい美」との出会いの場として、新進アーティストの活動を応援する公募展 第15回shiseido art eggを開催しました。

今回の「The 15th shiseido art egg カタログ」では、受賞された3名のアーティストの方の作品と展覧会の模様、作品解説などが掲載されています。

石原海さんの「重力の光」は、困窮者支援も行う北九州の教会で出会った人々と過ごす中で着想を得て作り上げた「映画インスタレーション」です。6m幅のスクリーンで上映された「重力の光」は、教会に集う元生活困窮者や教会関係者と協働したもので、彼らが、イエス・キリスト、マリア、天使等を演じ、聖書を題材にした演劇に、出演者自身の過去の過ち、病気、家庭環境等の半生を語るインタビューを織り交ぜて構成されています。

複層的にいまの社会を記録しドキュメンタリーであり、巧みな構成や演出によって、聖書の演劇をメタフィクションとして現実に交差させた本作は、現代社会の一面を浮き彫りにしながら、「生きる」とは何かという根源的な問いを投げかけています。

菅実花さんの「仮想か嘘か|かそうのうそか」は、分身である人形を被写体とした写真作品を通して「人間とは何か」を探求し続けてきた菅さんが、セルフポートレイトに加え、映像作品やインスタレーション作品で構成したものです。19世紀から20世紀にかけて、サイエンス・フィクションの登場する人造人間の系譜と、同時代に発明された光学機器にヒントを得て制作されています。

それぞれの作品は共鳴つつ、反射し合う鏡のようで、そもそもは事実を記録するために考案された写真が、デジタル加工技術が向上した現在では、誰もが自由に事実とは全く別の物に変化させたり、新たな表現やフェイクも創出できます。「見ることとは何か。」「リアルとフェイクの境界線は何か。」という問いを投げかける展示は、近未来の価値観の変化を予感させ鑑賞者に豊かな世界を提示しています。

中島伽耶子さんの「Hedgehogs(ハリネズミたち)」は、これまで壁や境界線をモチーフとして人と人との距離や関係性を問う作品を制作してきた中島さんが、資生堂ギャラリーの2つの展示室を見下ろすことができる独特な構造を活かし、空間全体を使ったインスタレーションを作り上げました。

中島さんは、巨大な壁で分断された2つの大きな空間に、壁紙、呼び鈴、扉や玄関ライトのような生活のアイテムを配置することで、展覧会の体験を鑑賞者自身の記憶を結び付けてもらいたかったとのこと。中島さんの興味は「自分と他社とを隔てる壁を破壊しようとするのではなく、想像力を使いながらの壁越の対話」にあるそうです。他者との距離の保ち方が難しくなっている現代社会において、壁はどのような関係性を可能にするのかを問いかけています。

資生堂ギャラリー様は、shiseido art eggを通じ、次代を切り拓く先進性をもったアーティストを応援するとともに、社員が参画する価値創造プログラムの実践を目指していらっしゃいます。

今後も受賞者の活躍から目が離せません。このカタログは資生堂アートギャラリーのHPから購入可能となります。ぜひご覧ください。

編集:板垣美香、眞家恵子、豊田佳子、井上香苗
レポート:桜井裕子
デザイン:佐藤園美
ロゴデザイン:丸橋桂
翻訳:パメラ・ミキ
撮影:加藤健

過去の展覧会 | 第15回 shiseido art egg | SHISEIDO GALLERY

会期: 石原 海 展    2021年 9月14日(火)~10月10日(日) 菅 実花 展    2021年10月19日(火)~11月14日(日) 中島 伽耶子 展  2021年11月23日(火・祝)~12月19日(日) …