Alexander Treves 写真集 FREEFALL

All images and text:Alexander Treves

Editorial Concept:Alexander Treves
Book Design and Project Management:Amanda Ling-Ning Lo(intermediArt)

発行:Zen Foto Gallery
発行日:2022/7

判型:A5横変型判(302×222mm)
頁数:160p
製版・印刷:プロセス4C、コンクスミ+特色1C(特グレー)+グロスニス、コンクスミ+特色1C(特グレー)+プロセス4C、コンクスミ+特色1C(特グレー)
用紙:金菱、クラシコトレーシング-FS、OKトップコートマットN、OKアドニスラフ70、NTラシャ 漆黒
製本:糸かがり上製本、クロス装、箔押し、空押し

今回ご紹介するのは、Alexander Treves氏の写真集『FREEFALL』です。

2010年、国連難民高等弁務官事務所は、紛争や暴力、迫害によって、世界で約3,000万人が強制的に避難させられていると推定しています。 2021年には、その数は3,500万人の子どもを含む8,400万人以上に膨れ上がっています。

本書は、ビルマのジャングルにあるキャンプ、ギリシャとマケドニアの国境、スリランカやフィリピンの紛争の余波、中東で続く混乱から逃れる人々、拷問を受けた人々、明るい未来への道として教育を大切にする子供たちなど、20カ国以上で撮影した難民やその他の避難民の写真と、彼らが暮らす環境に関するモノクロ写真を収録しています。

さらに、異なる紙に印刷され、異なる美学を持つ3つのカラーセクションがあります。これは、特権的な立場にある写真家が、他者の挑戦をモノクロで表現することのリスクを認識しつつ、本書に登場する多くの人々を苦しめている障害を反映したものです。

また、撮影地が多岐にわたるため、難民や移民が豊かな国に与える影響という観点からのみアプローチしがちな欧米のメディアとは異なり、この大惨事の規模をより広い視野でとらえることができます。 また、本書の随所に難民の証言が掲載されており、撮影された人々の声を伝える試みもなされています。

ハードカバーの表紙には、拷問を受けた難民の傷跡が浮き彫りにされています。 また、本にはポストカードが挿入されており、このポストカードには、最新の避難民の原因であるロシアのウクライナ侵攻のことが書かれています。悲しいことに、人間は同じ過ちを繰り返してしまうのです。

― 出版社説明文より

この写真集に収められているのは、紛争や内戦、迫害によって難民となった人々と、彼らを取り巻く現実で、キャプションの英文を読んでいくと、その状況がわかります。紛争や迫害に巻き込まれ手足や指を失った人々、劣悪な環境の難民キャンプ、破壊された建物や壁に残る無数の銃弾、「墓場」と呼ばれる数十万着のライフジャケットの山、虐殺の様子を目撃した子供の描いた絵…どれも息苦しくなるほど辛い光景です。

Treves氏は、極端な感傷や怒りなどに傾くことなく、目の前の悲惨な現実を、淡々と私たちに示しています。挿入される難民の人々の証言が、その写真の意味をさらに補完しています。

しかし一方で、これほどの悲惨な目に遭いながらも、信仰を忘れない人々、屈託なく笑う子どもたちの姿に、一筋の光を感じることができるのではないでしょうか。この写真集の売上は、すべて難民を支援する慈善団体に寄付されるそうです。この写真集をご覧いただき、彼らに手を差し伸べていただければと願います。

Freefall – Alexander TREVES | shashasha 写々者 – 日本とアジアの写真を世界へ

2010年、国連難民高等弁務官事務所は、紛争や暴力、迫害によって、世界で約3,000万人が強制的に避難させられていると推定しています。 2021年には、その数は3,500万人の子どもを含む8,400万人以上に膨れ上がっています。 …