復刻保存版 FRONTⅠ 海軍号・満州国建設号・空軍(航空戦力)号

発行日:2024/01/24

編者:平凡社
発行者:下中順平
発行所:株式会社平凡社
製本:大口製本印刷株式会社
制作協力:木高あすよ(株式会社平凡社地図出版)
DTP:有限会社ダイワコムズ

判型:B4縦判(380×257mm)
頁数:260p
製版・印刷:〈カバー〉DIC522(特茶)+DIC F239(特赤)+DIC F97(特スミ)+グロスPP加工、〈帯〉DIC F322(特スミ)ダブル+グロスニス(全面)、〈表紙〉DIC522(特茶)+DIC F239(特赤)+DIC F97(特スミ)+グロスニス(全面)、〈扉〉プロセススミ、〈本文〉プロセス4c
用紙:〈カバー〉OKトップコート+、〈帯〉NTラシャ ひまわり、〈表紙〉ブランシュ-TZ、〈扉〉サガンGA スノーホワイト、〈本文〉b7ナチュラル
製本:無線綴じPUR並製本

今回は、「復刻保存版 FRONTⅠ 海軍号・満州国建設号・空軍(航空戦力)号」をご紹介いたします。

第2次世界大戦のさなか、日本政府と陸海空軍の全面協力のもと、軍部直属の出版社である「東方社」より刊行された「FRONT」。刊行の目的は、日本の国威や軍事力を友好国・占領地域・中立国・敵対国などにPRすること。写真、グラフィックデザイン、印刷、造本などにおいて、当時最高峰の技術をもつ人材が集められました。伝説のプロパガンダ誌としてデザイン史に名を刻んでいます。

1989~90年、東方社でグラフィックデザインを担当した多川精一氏(故人)の監修のもと、平凡社より【復刻版】全10冊を再刊。

【第Ⅰ期】:「海軍号」「満州国建設号」「空軍(航空戦力)号」
【第Ⅱ期】:「陸軍号」「落下傘部隊号」「鉄(生産力)号」
【第Ⅲ期】:「華北建設号」「フィリピン号」「インド号」「戦時東京号」

【復刻版】は、オリジナルの判型と同じA3サイズで制作されましたが、本書は、B4(変型判、横257mm・縦360mm)サイズ。【復刻版 第Ⅰ期】の「海軍号」「満州国建設号」「空軍(航空戦力)号」が1冊にまとめられ、【復刻版】付録の解説小冊子も、松田行正氏による新たな解説を加えて合本収録されています。

コラージュやモンタージュといった合成を効果的に用いたレイアウトの中には、現代の広告で使用されている手法も。【復刻版】では特色インキが使用されていましたが、本書ではそれらの色味をプロセスインキで再現しています。複雑な折り込みなど【復刻版】をできる限り忠実に再現した特殊製本も見どころです。

担当プリンティングディレクターより

細野 仁


平凡社からおよそ35年前に刊行された「復刻版」が「復刻保存版」として再復刻されました。

原本となる「復刻版」は特色インキで作成されていたのですが、今回はそれらの色味をプロセスインキを用いて再現したいとのことでした。当時の特色の記録が残っていないこともあり、製版においては色バランス調整するだけでなく、プロファイルの見直しを行うことで、原本の色味を再現しています。通常使用している弊社独自のプロファイルは、色鮮やかに再現できるようにスミ版のトーンをよりコントラストにしているという特徴があります。今回の場合、弊社独自プロファイルでは色が強く出すぎてしまう、暗色の深みを表現するにはスミ版量が不足してしまいます。これらの課題を解決するため、ディレクターだけでなくオペレータも含め熟考し、ICCプロファイルも考慮した製版設計を行う結果となりました。

本機印刷においても、「復刻版」を意識して印刷濃度の方向性を決めました。必要以上に盛り込むことなく、原本の雰囲気を意識した印刷に仕上げています。

復刻保存版 FRONT Ⅰ 海軍号・満州国建設号・空軍(航空戦力)号 – 平凡社

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