平川正枝写真集 華神 かしん

著:平川正枝

発行:現代写真研究所出版局
発行日:2022/11/3

編集構成:飯塚明夫
デザイン:富樫茂美

判型:A4横変型判(210×250mm)
頁数:80p
製版・印刷:プロセス4C、特色1C(特グレー)、カバーはグロスニス
用紙:b7トラネクスト、ヴァンヌーボ-VG スノーホワイト、ヴァンヌーボF-FS ホワイト
製本:糸かがり並製PUR製本

今回ご紹介するのは、写真家・平川正枝氏の写真と言の葉を紡いだ写真集『華神(かしん)』です。

草木は季節が来ると華を咲かせる。
人間界が様々な禍で右往左往している時代(とき)でも、境内の植物たちは陽の光と雨の恵みを受け、風の揺らぎのなかで芽を醒ます。
神仏に見守られて。

束の間の生を謳歌した華は静かに朽ち、実を残して新たな季節を待つ。

禍々しい俗世間を離れ、四季を通じて境内で交わされる華と神仏のささやきに、わたしはしばしば耳を傾けた。

―本文2ページより

本書は「朧月(おぼろづき)」「鳴神月(なるかみづき)」「紅染月(べにぞめづき)」「寒月(かんげつ)」の4章で構成されており、四季折々の花や草木、神社仏閣の風景、仏像や地蔵などの写真が収録されています。幼いころより神社が身近な存在であったという平川氏の写真と短歌からは、静かで穏やかな佇まいを感じます。

紫木蓮(しもくれん) ゆたり枝々 天に向け 温もり優し 春陽やわらに

山茶花(さざんか)の 恥じらうように灯を点し 達磨 語らう世々(よよ)の喧噪

あとがきでウクライナ情勢を憂い、「『平穏』な日常を呼び戻したいという想いが深まり、『写真』と『言の葉』を紡いで、その心が少しでも伝えることができたなら…」と語られているように、この写真集から平穏への願いと美しく心安らぐ世界が伝わってきます。

まだ先の見えないコロナ禍、漠然とした不安に襲われる日々もあるかもしれませんが、『華神』の世界を覗いていただき、ひとときの安らぎを感じていただけたらと願います。ぜひご覧ください。