神学の思考 キリスト教とは何か

著:佐藤優

発行:平凡社
発行日:2022/10/7

判型:B6縦変型判(160×110mm)
頁数:384p
製版・印刷:プロセス4C、特色1C(特グレー)、スミ、カバーはマットPP加工
用紙:HL用紙、雷鳥コートN、ヴァル
製本:あじろ綴じ並製本

今回ご紹介するのは、佐藤優氏著『神学の思考 キリスト教とは何か』です。「神」をめぐり人間の限界を徹底的に思考することで、混迷する21世紀を生き抜く思考が身に付く。

西洋思想の精神的源流であり、近現代社会の根幹を成すキリスト教は、「真の神で真の人であるイエス・キリストが唯一の救い主」であることの信仰から始まりました。有限なる人間が無限なる神について、信仰の立場から弁護・弁証してきたキリスト教神学の内在的論理を理解するための入門書。プロレゴメナ(序論)からキリスト論までを収録。

神学にもキリスト教にもまったく知識のない私ですが、人間論の「なぜ『男と女』がいるのか」「なぜ『結婚』し、『結婚』しないのか」の部分などは大変面白く読ませていただきました。人間が孤独であってはならない、その一つの形として「男と女」を造られたとも考えられます。紹介されているバルトの神学的伴侶である愛人キルシュバウムとの関係性などは、論理と実際の人間に対する倫理的態度との矛盾もうかがえます。

バルトやブルンナーなどの20世紀以降のプロテスタント神学者の論旨を紹介しつつ、神学の基礎的な思考の理解を目指す本書を佐藤優は「究極の実用書」として書いたと語っています。それは近代世界の基盤であるキリスト教の価値観を理解することが現代世界を生きるのに役立つからだと言います。キリスト教に予備知識がなくても、キリスト教の内在論理の理解に有益な1冊。ぜひご一読ください。