初版は1995年に瑞雲舍様より刊行、イラストレーター和田誠氏によるロングセラー作品「ことばのこばこ」この度弊社で25刷目を印刷させて頂きました。リズム感溢れる七五調の押韻やしりとり、回文、数え歌など。頭の体操になりそうなことばのパズルが盛りだくさん。どこか異国情緒のあるイラストも魅力的です。

本書には著者と英文学者の高橋康也氏による対談「ことばの小宇宙」が小冊子で封入されています。「人間の根源的なイメージのしりとり」など、言葉遊びの起源を探る対話、英語圏における言葉遊びとの比較文化論をはじめ興味深い議論が展開されています。

20年以上前のフィルムを使った手焼き製版

現在はコンピューターからCMYK(アイ・アカ・キ・スミ)4版のデータを直接アルミ製の版に焼き付けるCTPがほぼ主流ですが、本書の印刷には今でも25年前に出力したポジフィルムを使用し、刷版職人が手焼きで印刷用の版を製作しています。

感光剤が塗布されているアルミ版にフィルムを乗せ、感光→現像することで露光されていない部分だけが水を弾いて油(インク)が付着するようになります。光をあてる時間を長くすればするほど網点は小さくなりますが、この露光時間による網点濃度の微妙な調整は刷版オペレーターの経験と技術がモノをいう世界です。

また、印刷工程において4色の各版を正しい位置に調整する”見当合わせ”の作業にも、フィルム刷版の場合には難易度が上がります。CTPのように微調整では済まないことも多く、正確な位置に調整するに当たり、やはりオペレーターの経験値と技量が求められます。

技術の進歩によりこういった”かつての職人技”がますます希少になっていく…印刷に限らずあらゆる世界で起きている流れだと思います。

25年にわたり沢山の読者の方に愛され続け、今尚新しい読者の方の手に取られている本書を手にとりながら、技術の進歩にかかわらず支持され続ける”変わらない価値”について考えさせられました。

大人が読んでも面白い言葉遊びのロングセラー絵本”ことばのこばこ”、ぜひご一読下さい!

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