新装版 角砂糖の日

著:山尾悠子

編者:平岩壮悟
装幀:佐野裕哉
挿画:合田佐和子、まりの・るうにい、山下陽子

発行:LIBRAIRIE6
発行日:2016/12/25

判型:A5縦変型判(210×137mm)
頁数:104p
製版・印刷:スミ、特色1C(特青)、特色2C(スーパーブラック+マットニス)、プロセス4C+マットニス
用紙:モンテシオン、ビオトープ GA-FS ベリーレッド、NTラシャ ベージュホワイト、ソフトバルキー スメ入りスノー
製本:糸かがり上製本、箔押し

今回ご紹介するのは、2016年刊行の山尾悠子さんの歌集『新装版 角砂糖の日』です。この本は、第51回造本装幀コンクール文部科学大臣賞を受賞しています。

美しい幻想小説で知られ、その寡作ぶりから「幻の作家」とまで呼ばれる山尾悠子さんの歌集。その短歌も山尾さんならではの美しく、時に残酷でどきっとさせられる言葉で紡がれています。

恋愛の遠きをもとめ貪婪(たんらん)の椅子ここに吾(あ)の半睡深かれと

金魚の屍 彩色のまま志那服の母の狂ひたまふ日のまぼろしに

角砂糖角(かど)ほろほろに悲しき日窓硝子唾(つ)もて濡らせしはいつ    —『角砂糖の日』より

この本は1982年深夜叢書社から刊行された『角砂糖の日』を、2016年LIBRARIE6より新装版として刊行されました。1982年当時、まだ26歳だった山尾さんは、塚本邦雄、葛原妙子、山中智恵子、齋藤史、春日井建、浜田到、寺山修司らに「かぶれて、傾倒していた」とのことで、旧仮名遣い(ただし漢字は新漢字)の本をいちどは出してみたいと少々子供っぽい願望が叶った歌集出版だったそうです。

今回34年ぶりの復刊となった『新装版 角砂糖の日』は、装幀の佐野裕哉さんによって、その内容にふさわしいとても美しい本となっています。白いケースと深い赤の表紙に描かれた角砂糖のイラストには繊細な金の箔押しが施されています。

短歌一篇が1ページに配されたとても贅沢なレイアウトで、ページをめくるごとにその幻想的な歌の世界で揺蕩うことができます。ただただ美しく、抱きしめて眠りにつきたくなるような歌集『新装版 角砂糖の日』。ぜひご一読ください。