デザインから世界が見える 国旗大図鑑

監修:苅安望

企画・構成:岩崎書店編集部(松岡由紀)
執筆・編集:園田千絵、山田智子、栗栖美紀、宮村美帆
図版協力:平凡社地図出版、苅安望、倉本るみ
ブックデザイン:鈴木康彦
発行日:2019/11/30
発行:岩崎書店

判型:A4縦変型判(280×210mm)
頁数:480頁
用紙:HSスノーフォース、Mr B ホワイト、スマッシュ、タントセレクト TS-1 N-9
製版・印刷:本文はプロセス4C、見返し、扉は特色1C(特グレー、特赤)、カバーはプロセス4C+グロスニス
製本:あじろ綴じPUR上製本

今回ご紹介させていただくのは、2019年に岩崎書店様より刊行されました「デザインから世界が見える国旗大図鑑」です。

国旗のデザインは美しく、それぞれの旗に人々の大切な思い、願い、理念などが込められています。その国旗についてよく知れば、その国々についての理解を深めることができるでしょう。

タイトルどおり、国旗のデザイン上の特徴に着目し、旗の色と基本パターン、配色別などの分類もあり、すべての国と地域が完全50音順で並べられている点などが、国旗図鑑としては非常に珍しいものとなっています。また日本が認める独立国に限らず、国連未承認国も含め256の国と国外領土についてつぶさに紹介されています。

総ページ数480ページ、背幅は4cm弱のハードカバーでとてもボリュームがありますが、レイアウトは情報をかなりそぎ落としたシンプルな内容で、図鑑で学ぶ子供たちの記憶に残りやすいよう配慮がされています。


厳選された情報の中から、その国の歴史や文化、世界のどこに位置するのかなどを知ることができます。「くらべてみよう」では似た配色やデザインの国旗と比較する面白い試みもされています。

2022年現在、ロシアのウクライナ侵攻についてご心配されている方も多いと思います。ウクライナの国旗の青は空、黄色は小麦を表しており、まさにこの国旗と同じ風景が広がっています。

またこの図鑑でも「ロシア系住民の多いクリミア半島をめぐり、ロシアと領土問題もある。」との解説がされていますが、まさにこの問題が侵攻の一因となってしまいました。

このようにこの図鑑では、歴史や文化、民族、経済などその国が抱える様々な問題についても解説がされており、世界情勢を知る一歩としても非常に役立つ図鑑です。また国旗のデザインが変更される際には、戦争、独立などエポックメイキングな出来事が常に背景にあることも知ることができます。

大人である私たちも知らない国旗もたくさん紹介されていますし、今まで知らなかった他国の歴史についても、お子さまと一緒に学ぶことができる良書です。親子でこの図鑑を眺めながら、これ以上戦争によって国旗のデザインが変わらぬよう、世界平和についても考える良いきっかけになると思います。