新・地図のない旅 Ⅰ

著:五木寛之

発行:平凡社
発行日:2023/5/12

判型:B6縦変型判(176×120mm)
頁数:232p
製版・印刷:スミ、特色1C(特緑)、特色1C(特緑、特茶)、プロセス4C、カバーはグロスニス、帯はマットPP加工
用紙:オペラクリアマックス、OKカイゼル 雪、オーロラコート、里紙 竹、里紙 きなり
製本:あじろ綴じ上製本

今回は五木寛之さん著、『新・地図のない旅 Ⅰ』をご紹介いたします。

「地図のない旅」というのは、いわば私の生き方そのものだ。
……あちこちの街で暮らし、この先もどうなるかわからない。「地図のない旅」は、これからも続くのだろうか。
(「あとがき」より)

90歳を迎えた著者が「人生百年時代」という未知の旅を前に、日々の思いを綴る。
出会う人々との何気ない会話、体とのつきあい方、ふとよみがえる記憶……。
変わり続ける日常を、新たな視点で見つめ直す69のエッセイ。

ー平凡社ホームページ紹介文より

本書には『北國新聞』ほか地方紙に連載された「新 地図のない旅」を再構成、一部修正を加えたエッセイが収録されています。『新・地図にない旅』というタイトルは、幼い頃から各地を転々とし、大学も中退、「あちこちの街で暮らし、この先もどうなるかわからない」と語る五木さんが、いつも「きょう一日」という気持ちで暮らしてきたことを表すものとなっています。

90歳を迎え、身体の衰え、病気の悩み、コロナ、オレオレ詐欺など、ご自分も身につまされる出来事と向き合う日々を、五木さん一流の飄々としたユーモアのある文章で綴られています。また五木さんの名作小説には『親鸞』『蓮如』など、仏教に関するものも多いですが、本書でも仏教の教えから私たちの生き方の教訓を伝えてくださるお話もあります。

北方謙三さん、井上ひさしさん、野坂昭如さんなど小説家の方々、小学校教師だった父、昭和の歌謡曲や喫茶店にまつわる懐かしい思い出にもしばしば触れられており、五木さんの文章を読みながらご自分のご家族、ご友人や当時を懐かしく思い出す方も多いのではないでしょうか。

齢90にして、まだまだ続いていく五木さんの「新・地図のない旅」。私たちは目まぐるしく日々を過ごし、人生を振り返る余裕もないと感じることもありますが、人生の大先輩である五木さんのエッセイをお読みいただくと、一服のコーヒーのようにリラックスできるでしょう。ぜひご一読ください。

装幀:奥定泰之
題字・イラスト:柳智之

編集協力:木下邦彦、関口秀紀、安井梨恵子
DTP:矢部竜二