13 サーティーン ハンセン病療養所からの言葉

著者:石井正則

装丁:寄藤文平+古屋郁美(文平銀座)

発行:トランスビュー
発行日:2020/3/30

判型:A5横変型判(157×195mm)
頁数:176頁
用紙:ユーライト、クラフトペーパー デュプレN、アラベール ホワイト、コットンライフS スノー
製版・印刷:プロセス4C(本文、カバー、帯)、特色1C(特青、表紙)、マットニス(カバー、帯、表紙)
製本:糸かがり上製本

今回は石井正則さん著の「13 サーティーン ハンセン病療養所からの言葉」をご紹介いたします。

明治以降、約90年続いた隔離の歴史。全国に13ある国立ハンセン病療養所には、その記憶を色濃く残した「風景」とその中でしか生まれえなかった「言葉」があります。
8×10や35mmのフィルムカメラを携え、3年を掛けて全国の療養所を訪れた石井正則さんはそこで感じた「空気」を写真に収めてきました。

石井さんがカラーフィルムで撮影した約100点の写真に、入所者の方々の力強い詩23篇を掲載。木村哲也氏(国立ハンセン病資料館学芸員)による、ハ
ンセン病政策と療養所の歴史についての解説も収録されています。

収録された詩の一篇、志樹逸馬さんの詩「曲がった手で」をご紹介いたします。

曲がった手で 水をすくう
こぼれても こぼれても
みたされる水の
はげしさに
いつも なみなみと
生命の水は手の中にある
指は曲がっていても
天をさすには少しの不自由も感じない

隔離の中で生まれた詩(ことば)と失われゆく記憶を残すために、石井さんは療養所の現在を撮りました。またハンセン病療養所の、その深く強く残る「場の記憶」を写真にとどめ、入所者の方々の力強い「詩」で、改めてハンセン病に関する理解、さらには他の社会の問題への関心を深めていただきたい、と強く願っておられます。

今回いただいた原稿の中にはネガフィルムが多く含まれておりましたので、弊社にてスキャンから行い、ノスタルジックな雰囲気を残すため、写真の粒子感は敢えて残し、製版、印刷いたしました。

ハンセン病患者の方々が昔、どのような不当な扱いを受けていたかを知らない方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。石井さんがおっしゃるように、この本をきっかけに少しでも多くの方々に関心を持っていただければと願います。