夜のくもざる

文:村上春樹
絵:安西水丸

装丁:藤本やすし+キャップ

発行:平凡社
発行日:1995/6/10

判型:A5縦変型判(188×148mm)
頁数:240p
製版・印刷:プロセス4C、特色2C(特赤+特黒)、特色1C(特赤)+グロスニス、スミ、カバーはグロスPP加工
用紙:OKソフトクリーム ピーチ、雷鳥コートN、オフメタル 銀、タント N-60、タント S-8
製本:あじろ綴じ上製本

今回ご紹介するのは、村上春樹氏・文、安西水丸氏・絵の超短編小説集『夜のくもざる』です。

村上春樹氏が4年にわたって書きためた超短編から、表題作はじめ37編をチョイス。都会の片隅からひろい上げた、お洒落でライトな、そしてちょっとホロ苦い物語。安西水丸氏のオール・カラー挿絵入り。1995年刊行の本書は平凡社創業100周年記念で復刊され、現在9刷を重ねる人気作です。

「超」短編小説とあるように、どのお話も3ページ程度。こんなに短い小説で、クスリと笑わせられたり、不穏な気持ちにさせられたり…そしてちゃんと光景が浮かんでくるからさすがです。私はしばらくフリオ・イグレシアスのことが頭から離れなくなってしまいましたが、皆様それぞれのアンテナにひっかかるお話がきっとあるはずです。

村上氏の名コンビ・安西水丸氏のイラストも、本編と関係があるようでちょっとピントを外してあるところが、とってもお洒落です。イラストの意味を考えながら、再読するとまた違った発見があるのではないでしょうか。

おまけの「朝からラーメンの歌」は、ピーター・ポール&マリー「天使のハンマー」の替え歌だそうですので、ぜひ口ずさんでみてください。「おいしいメンマ 焼き豚モーニング 朝からラーメン、嬉しいな~」と、バカバカしくもハッピーになれること請け合いです。

村上氏の長編小説の登場人物と同名のキャラクターが登場したり、村上氏のファンの方にはうれしい驚きもあるかもしれません。音楽をかけて、コーヒーやお酒を楽しみながら、ゆっくりと読むのにピッタリの超短編集。ぜひご一読ください。